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つくり手が語る「為事(しごと)」[サンクトガーレン]

2025.12.26号 湘南のお酒

従来のビールの枠にとらわれず、
日本のクラフトビール文化の確立と、
発展に情熱を注ぐ「職人の為事」

※「為事」とは、「仕事」の語源ですが「事(つかえる)を為す」という意味から生まれた言葉。自分の意志や使命、役割を果たすための行為を指します。これは、単に会社に仕える「仕事」とは異なり、より能動的で自身の内発的な動機に基づいた「成すこと」を意味することがあります。

サンクトガーレン 社長 岩本 伸久

市場も言葉もなかった時代から
──サンクトガーレンの30年

 岩本伸久氏の原点には、父・光生氏の存在がある。飲食店を展開していた父は、サンフランシスコでクラフトビールと出会い「ビールは、もっと自由で多様であっていい」と感じたという。
 1993年、サンフランシスコでクラフトビールづくりを開始。当時、日本では酒税法により小規模醸造は禁止されていた。
 「日本で造れないなら、アメリカで造って逆輸入すればいい」と父の言葉をもとに、岩本氏は父とビール造りに専念し、高い評価を受けTIME誌にも掲載された。
 日本に「クラフト」がない時代に「形」にしてみせたこの挑戦が、「0号クラフトビール」と呼ばれる所以である。

TIME誌:日本人の作る高品質なクラフトビールとして取り上げられた。日本のクラフトビールを語る中では欠くことができない、サンクトガーレンの歴史だ。

パイオニアが切り拓いた、
本当にゼロからの道

 1994年、日本で酒税法緩和によりクラフトビール製造が解禁。様々な苦難の中を乗り越え、伸久氏は独立し、サンクトガーレンを立ち上げた。「クラフトビールを扱うバーは都内3軒しかなく『クラフトビールとは何か?』と聞かれ、お客さまを1から教育することから始めました」 その中で、「言葉」を大切にしてきたという。
 「作り手は、つい専門用語を使ってしまいがち。それでは伝わらない。オレンジの味だとか、チョコレートみたいなコクだとか、すぐにイメージできる言葉で伝えてきました」
 スイーツビールやフルーツビールの開発も、クラフトビールの裾野を広げるために、飲み手側に立ち続けてきた結果である。
 2009年、湘南ベルマーレとともに、Jリーグ初となるクラブ公式ビールの開発にも挑んだ。「課題もあったが、一緒にやってやろうと」立ち上がった。ホームゲームでは、サンクトガーレンのタップカーが地元ファンの楽しみになっている。

置き換わらない存在であるために

 製造から30年。岩本氏が見据えてきたのは、自社の成長だけではない。
 「正直言うと、まだまだです。30年経っても、クラフトビールのシェアはせいぜい1%強。あまりにも小さい」 新規参入が相次ぐ一方で、市場全体の広がりは限定的だという現実がある。
 「新しく参入する人が増えるのは嬉しいことです。でも、作って満足してしまうケースも多い。僕らが始めた頃は、売り場すらなく、自分たちで開拓するしかなかった。そこで市場を取り合っても、意味はないんです」
 岩本氏は、大手メーカーによる「クラフト風ビール」の存在にも懸念を示す。「アメリカでは“クラフティー”と明確に区別されますが、日本では線引きが曖昧です。アメリカではクラフトが3割、ポートランドでは5割を超える。日本は、まだまだ広がる余地があるはずです」 だからこそ、新規参入する人々には「裾野を広げる意識」を持ってほしいと語る。
 「僕らも、簡単に置き換えられないビール造りを続けなければならない。話題性があって、思わず飲んでみたくなる。そんな“こと”を、これからも仕掛けていきたいですね」
 最後に、「どんな風にクラフトビールを飲んでほしいか」と尋ねると、岩本氏は迷いなく答えた。
 「楽しく飲んでほしい。ビールって、本来そういうものですから」
 その笑顔には、30年かけて市場を切り拓いてきた自負と、これからも挑み続ける覚悟がにじんでいた。


工場より出来立てビールを直送。レギュラービールから季節限定のフルーツビールまで、最大20種のビールが全て樽生で1杯825円(税込)より楽しめます。

TAP ROOM(サンクトガーレンの直営店

神奈川県厚木市中町2-2-1
本厚木ミロード2 1階
年末年始の営業:年末12月31日まで
年始2026年1月2日より営業
※年末年始は通常と営業時間が異なる場合があります。

賀正ビール 2026干支ラベル
限定販売中

サンクトガーレン有限会社

神奈川県厚木市金田1113-1


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